相続登記(相続による名義変更)について
相続登記とは、建物や土地を所有する皆さんの親族が不幸にも死亡してしまった場合に所有者の
名義を変更するために必要な登記のことをいいます。
基本的に相続が発生しても登記上の名義人を変更する法律上の義務はありませんし、実際にも田舎などでは
古い名義人のままで登記が放置されていることも多々あります。
しかしながら、何世代にもわたって登記を怠っていた場合、様々な支障が生じる恐れがあります。
土地や建物の売買、抵当権の設定により資金の借り入れなどでも相続による名義人の変更をしていなければ
困難なものとなりますし、何世代にも渡って登記を怠っていた場合は、相続人の数が増えすぎてそもそも相続
登記自体が非常に困難なものとなる恐れがあります。
また、権利保全という意味でも相続登記をしていなければ、せっかく遺産分割協議などで得た財産の一部を
失う恐れも生じます。
そのため、相続登記は必ずしも義務ではありませんが、資金的にできる余裕があるのであればやっておいた方が
望ましいといえます。
◆令和6年4月1日からの相続登記の義務化について
令和6年4月1日から相続登記が義務化されております。
これは令和6年4月1日以降に発生した相続のみならず、令和6年4月1日以前に起きた
相続で放置している場合にも適用があります。
具体的にいつまでに登記しなければいけないかといえば、
@令和6年4月1日
もしくは
A自分に相続があったことを知り、かつ不動産の所有権を取得したことを知った日
のうちの遅い日から3年以内に相続登記をする必要があります。
相続登記を怠ると10万円以下の過料が課される場合があります。
◆相続登記の手続きの概略
1、遺言書の有無の確認
不幸にも家族の方がお亡くなりになった場合、遺言書が存在するか否かを探します。
仮に遺言書が見つかれば、遺言書検認などの手続きを行います。
2、相続人の確定
戸籍謄本などを収集することによって死亡した方の相続人が誰であるのかを探します。
3、相続財産の調査・確定
法務局で土地や建物の登記事項証明書を取得したり、市町村役場で固定資産課税台帳などを確認すること
などによって相続財産の調査を行います。
4、相続財産の処理の確定
確定された相続財産をもとにどのような形でそれぞれの相続人の方が財産を取得するのかを検討します。
5、相続登記の申請
相続を受ける方が決定すれば、遺産分割協議書などの必要書類を作成して相続登記を行います。
◆相続登記で必要となる主な書類
1、被相続人に関するもの
被相続人の戸籍謄本等、被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票
2、相続人に関するもの
法定相続人全員の戸籍謄本、不動産をもらう人の住民票、相続する不動産の評価証明書、
印鑑証明書付きの遺産分割協議書、遺産分割調停調書、自筆証書遺言、公正証書遺言、委任状
3、相続登記の調査に関するもの
相続する不動産の登記事項証明書、固定資産税納税通知書、名寄帳(固定資産課税台帳)、権利証等
◆相続登記を弊所にご依頼の際に必要となる書類
相続登記で必要な書類をすべてお持ちいただくにこしたことはないですが、どこで取得すればいいのか不明で
あったり、取得する時間がなかったりすることもあると思います。
その場合は、弊所で可能な限り取得の代行を行わせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
◆相続登記に必要な費用(登録免許税の算定基準は令和6年1月1日現在)
相続登記に必要な費用は弊所へご依頼される場合は、登録免許税等と弊所への報酬の合計となります。
ちなみに、登録免許税は国に登記の際に納める税のことで不動産評価額×1000分の4となっております。
その他相続登記にかかる具体的な費用の総額につきましては事案や不動産評価額に
よって異なりますので、お気軽にお問い合わせください。
◆その他相続に関する付随的な事項
1、死亡した方に借金がある場合
死亡した方に借金がある場合、その借金を引き継ぎたくなければ相続開始を知った時から
3か月以内に家庭裁判所に相続の放棄の手続きをする必要があります。
2、相続税の申告について
相続税の申告は死亡した方の相続税が基礎控除額の範囲内である時は必要ありませんが、
基礎控除額を越える場合は相続開始後10カ月以内に申告が必要となります。
尚、相続財産等に関するおおまかな説明は「相続税メモ」をご参照ください。
参考:基礎控除額
⇒3千万円+6百万円×相続人の数(※)
※例えば、相続人の数が3名の場合は、3千万+600万×3=4千800万円が基礎控除となるので
相続財産が4千800万万より少ない場合は申告の必要がないことになります。
尚、相続に関して大半の方は基礎控除額の範囲内であるといわれてますが、相続税に関して
心配な場合は、税理士さん等に相談することをお勧めします。
3、準確定申告について
死亡した方が自営業者など確定申告の対象者である場合、死亡した方のその年の1月1日から
死亡した日までの所得について相続人が相続を開始したことを知ったときから4カ月以内に申告する
必要があります。
準確定申告はあくまで確定申告の一種であるので、それが必要か否かも確定申告が必要か
どうかで判断することが可能です。
尚、確定申告は毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その
所得金額に対する税額を算出して翌年の2月16日から3月15日までの間に申告と納税を
することになっています。
そのため、1月1日から2月15日までの間に亡くなられたような場合は前年度の確定申告も
行われていないことから準確定申告は前年度分のも含めてする必要が生じますのでご注意
ください。
4、相続登記に付随するその他の各種手続き
相続に関連して必要となる手続きとしては様々なものが考えられますが、以下のようなものが考えられます。
死亡届の提出、葬祭費の申請を含む国民健康保険や健康保険の手続き、資格喪失手続きを含む
国民年金や厚生年金の手続き、亡くなられた方の銀行貯金の名義変更の手続き、株式の名義変更、
自動車の名義変更、生命保険の請求・・・・・etc
尚、相続登記に付随する手続きについては「相続メモ」をご参照ください。
5、遺留分について
遺留分とは、簡単にいえば、相続財産に対して持っている相続人の権利をいい、仮に
遺言書などで特定の人に全ての財産を与えると書かれていても相続人による権利主張が
可能だということです。
具体的には、妻子持ちの山田太郎さんが愛人に8千万円の財産すべてを与えるという
遺言書を作成して死亡した場合、妻の山田花子さんは8千万円×4分の1=2千万について
権利主張することが可能です。
参考:遺留分の割合(※)
@配偶者と子が相続人の場合は 「2分の1」
A直系尊属のみが相続人の場合は「3分の1」
※具体的な個別的遺留分は上記割合に法定相続分をかけたものとなります。
例えば、妻と子供が相続人の場合は、@の割合に法定相続分の2分の1をかけた
ものとなりますので、個別的遺留分は4分の1となります。
6、法定相続分について
相続が発生した際の法定相続分は以下のものとなります。
@子と配偶者が相続人の場合
各2分の1
A配偶者及び直系尊属が相続人の場合
配偶者 3分の2 直系尊属 3分の1
B配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
配偶者 4分の3 兄弟姉妹 4分の1
※子や直系尊属、兄弟姉妹が数人いる場合は、各自の相続分は等しいものとされますが、
父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は父母の双方を同じくする兄弟姉妹の
相続分の2分の1とされています。
7、民法改正による影響について
従来は遺言書で全ての不動産を取得された方は相続登記を急がなくても問題は
おきませんでしたが、民法改正によって迅速に相続登記をしないと場合によっては
法定相続分を超える部分の権利を失う可能性があります。
遺言書で不動産を取得された方は可能な限り早期の相続登記手続きを行った
望ましいと思われます。
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